日本酒は「米と水でできている」とよく言われますが、その中でも味わいを大きく左右するのが「酒米（さかまい）」です。

普段食べるごはん用の米とは違い、日本酒造りのために品種改良された特別なお米なのです。

酒米とは？

酒米は「酒造好適米（しゅぞうこうてきまい）」とも呼ばれ、心白（しんぱく）と呼ばれる白い中心部を持っています。

この心白は麹菌が入り込みやすく、発酵をスムーズに進める役割を果たします。粒が大きく、吸水しやすく、砕けにくいのも特徴です。

つまり酒米は、「日本酒をおいしく造るために選ばれたお米」なのです。

代表的な酒米とその特徴

山田錦（やまだにしき）

「酒米の王様」と呼ばれる最も有名な品種。バランスが良く、香り・旨み・キレのすべてを高いレベルで備えています。

特に吟醸酒や大吟醸酒で使われることが多く、ふくらみのある上品な味わいになります。

主な産地は兵庫県。

五百万石（ごひゃくまんごく）

新潟県を代表する酒米で、スッキリと軽やかな味わいを生み出します。

発酵が穏やかで雑味が少なく、「淡麗辛口」の日本酒にぴったり。冷酒にもよく合います。

美山錦（みやまにしき）

長野県を中心に栽培される品種で、華やかな香りとシャープな口当たりが特徴。

フルーティーで飲みやすい日本酒によく使われ、近年は全国で人気が高まっています。

酒米による味の違いを楽しもう

同じ蔵元でも、酒米が違うと味わいが驚くほど変わります。

たとえば「山田錦」と「五百万石」を飲み比べると、まろやかとシャープという対照的な印象を受けるでしょう。

ラベルに「山田錦使用」「五百万石100%」などと書かれている日本酒を見かけたら、

「これはどんな味だろう？」と想像しながら選ぶのも楽しいポイントです。

酒米は、日本酒の「個性」を決める重要な要素。

品種を知ることで、好みの日本酒に出会いやすくなります。

ぜひ次に日本酒を選ぶときは、ラベルの“酒米”にも注目してみてください。