日本酒の個性は酵母から!香りと味わいの関係

日本酒の香りや味わいを決める大きな要素のひとつが「酵母」です。普段あまり意識されませんが、酵母の種類によって日本酒の印象は大きく変わります。
酵母とは?
酵母は、目に見えない小さな微生物の一種で、糖をアルコールと二酸化炭素(炭酸)に変える働きを持ちます。日本酒造りでは、米のデンプンを糖に変えた後、この酵母が発酵を進めることでお酒が生まれます。単なるアルコール生成だけでなく、香りや味の複雑さを生み出す重要な役割を担っています。
日本酒と酵母の歴史
昔の日本酒は、自然に存在する「野生酵母」で造られていました。そのため仕上がりにムラが多く、安定した品質を保つのが難しいものでした。
20世紀に入ると、国立醸造研究所(現在の酒類総合研究所)が純粋培養酵母を開発し、酒蔵に配布する仕組みが整いました。これにより、安定した発酵と、香りのコントロールが可能になったのです。
代表的な酵母と香りの特徴
日本酒でよく使われる酵母には、いくつかの「系統」があります。それぞれの酵母が生み出す香りの特徴を知ると、日本酒選びがもっと楽しくなります。
協会6号酵母 | 秋田県・新政酒造で分離された酵母。爽やかで落ち着いた香り、深みのある味わいを生み出します。 |
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協会7号酵母 | 長野県・宮坂醸造で発見された酵母。華やかさと安定性のバランスが良く、清酒製造現場の過半数で使用されている。 |
協会9号酵母 | 熊本県の熊本県酒造研究所で分離された酵母。リンゴや洋梨を思わせるフルーティーな香りが特徴。吟醸酒に多く使われます。 |
まとめ
酵母は、日本酒の「香りの設計者」ともいえる存在です。どの酵母を選ぶかによって、日本酒は爽やかにも、フルーティーにも、落ち着いた味わいにも変化します。次に日本酒を飲むときは、ラベルに書かれた酵母の種類に注目してみると、新しい楽しみ方が見つかるかもしれません。